試し書きVENUS

無意識とアルゴリズム

図的に描いた絵と、たまたま描いた絵は、どこか根本的に違う。

れは絵を描いたことがなくても誰でも理解できる現象で、とになく意識してしまうとうまくいかない、でも勘だけでやるとうまく行くというアレのこと。徒然なるままにというか、自分の中の見知らぬ自分が勝手に活動しているというか、大竹伸朗の言葉を借りると「夢をみているような」状態。

はいわゆるメディアアートを作っていて、つまり絵の具の代わりにコードを書いて作品を作っているのですが、その「コードを書いて」というのが、どうも悪い。まず意識度が非常に高い。大竹伸朗のように無意識のセンスを駆使して絵を描く画家はたくさんいるが、コードを無意識に書いているヤツがいたらそれは凄い人である。真鍋大度さんがやっているかもしれないけど。

度な技術というものは理屈で動いているわけなので、技術を使って作品を作るに当たって、まずは自分の作りたいものを客観的に考えて、開発企画書でも書いて、言語やプラットフォームを丁寧に選んで…みたいなアンバイになるので無意識どころではありません。第一日曜日だしせっかく会社が休みだからたまには公園でも行ってフリズビーでも投げで大声で笑って外人らしく振舞いたい。

れでも文房具屋の試し書きみたいに無作為なメディアアートを、僕は作りたい。「え?今アート作っていたの?」みたいな、気が付いたら絵ができてしまったようなプログラムを書きたい。というか書いてみた。でもまずは代官山の駅近くにある「WakuWaku00」という文房具屋さんに言って「まったく見知らぬ外人ですが、試し書きカードを集めてくんない?」と依頼した。無論、快く承知してくれた。

ルゴリズムは試し書きカードから筆跡をランダムに選び、ランダムな場所に、ランダムな向きに、ランダムな色調で描写する。つまり作為のない、きわめて阿保なソフトである。

空のキャンバスから始める。ランダムに試し書きカードの筆跡をキャンバスに書き込む。そしてそのキャンバスと「理想の画像」を比較して、もしキャンバスと理想がより類似したら書き込みをそのまま採用する。類似しなくなったら、なかったことのように取り消す。これを何万回、何千万回繰り返す。ピクセル毎に。

まり無作為に描いていくうちに、理想的な映像がぼんやりできあがってくる。

これは物凄い手間のかかることで、OpenGLなどシェーダ言語などを使っているにもかかわらず、一枚を作るのに何時間もかかる。なんでわざわざそんなことやるの?って言いうと、やはり「無意識」に描いていく絵は何となく違うから。理想の映像に合わせて、意図的に描写していったら、やはり結果が違う。

なみに、これはどういう絵かというと、虹色放射線の空の下の、中目黒の街並みに横たわるヴィーナス。なぜそれを題材に選んだかいうと、僕にもわからない。

MATTHEW FARGO, 2014

Shibuya, Tokyo.

mfargo@gmail.com